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スミスシマルハゲ Mr. Smith Is Quite Bald [Daddy-Long-Legs]

第一に、今朝ハゲになった夢を見た(これは帰国後、月に一度は見る怖い夢)のと、第二に、このごろ記事がまじめで重くなりすぎているきらいがあるのとで、ふとスミス氏の頭についてのジュディーの妄想につい書いてみることにします。

1年目の12月19日に始まる数日の手紙の日曜日の追伸で、ジュディーは、「質問にちゃんと答えてください。手紙を書くのがめんどうなら、秘書に電報を打たせてください。」と書いて、三つの電文を提示します。――

Mr. Smith is quite bald,
or
Mr. Smith is not bald,
or
Mr. Smith has white hair.

   つづけて「私のお小遣いから25セント差し引いてください And you can deduct the twenty-five cents out of my allowance」と書きます。

  かねて、19世紀のモールスの電信以来のtelegraph 、telegram と英文の省略的記述法など、興味はあったのですが――たとえばマーク・トウェインもその流れから出発した missspellers (意図的に単語を縮めたりして綴り間違いをする書き手)と電信の関係の有無とか――、電報料金の体系については詳しいことがわからず、というか、時代によって変遷があるようで、明確な記述はできません。

  が、どの国でも、電信が一般化すればするほど、字数と料金の体系を、電信がパンクしないように制限していったのは事実のようです。

  とりあえず、日本語のウィキペディアの「電報」の記事の、「かつて行われていた特別取扱」の項には、「付加料金は1音信に相当する料金(和文で15字分、欧文で5語分)」という記述があります(しかしいつの時代やら不明)。「一音信」というのは、最初の基本料金みたいなもので、それを超えると「付加料金」が何字いくら、というかたちで付け加わるわけです。

  WEB上の情報としては、日本の電報については、たとえば『読売新聞』1920(大正9)年の「今度は電報の値上 普通一音信が三十銭――市内の普通電報料は多分二十銭で実施期は総選挙後の六月一日か」という記事が<新聞記事文庫 逓信事業(3-171)> として載っていたりします。記事によると一音信は15字ですが、それの基本料金を挙げた上で、追加料金と字数をどうするか、というのが問題になったらしい。米田通信局長は以下のように語ります。――

『電報料金値上げはもう時期の問題だけが残って居るだけで、一音信を三十銭にするという基本の料金を決めて後は僕の方でも研究して居る処だ即ち一音信以上は従来は五字毎に五銭宛徴収して居るが、これは例えば次の一音信を増すごとに十銭を取るとすれば今までの振合上少し発信人の負担が重くなるし、あとの一音信の字数を十字までに延長すれば発信人は字数の許す限り多くの用向きや文字を使うから、そうなれば実際の取扱上では今でさえ飽和し切って居るのに技術者に非常に負担が加わるので迚も遣切れない、そうなるとこれ以上に電報は渋滞する道理で公衆は現在より以上不備となるのでよほど慎重に考えねばならない、それから現在市内の電報料金は一音信十銭だが、これも普通電報に準じて計算に都合の好い様にする筈だ』と其処で結局改正料金=は普通電報が一音信三十銭市内同二十銭となる理であるが、通信局長の言う通り後の一音信料金は何等決定して居ないので怎うなるかは未定だが、或は従来の通りに留めて置くか五字を十字に増して十銭を徴収するかの二つにあるらしい、実施時期に就ては米田局長は『どうもうちの老爺(野田逓相)は何の予告もしないでさアやれと来る方だから僕等は命維従うの方で全く知らない、が恐らく総選挙が済んだ後ではなかろうかな』と語ったまた聞く処によれば前代議士連で今度立候補を宣言した財嚢の豊かで無い面々には搦手から当局者に向って『電報料の値上げはどの道免れないものならば、せめて選挙が済んでからにして呉れないか』と随分泣を入れた筋もあるというからそれやこれやの経緯から実施は六月一日からという観測が確らしい。 〔神戸大学電子図書館システム <http://www.lib.kobe-u.ac.jp/das/jsp/ja/ContentViewM.jsp?METAID=00469279&TYPE=HTML_FILE&POS=1>〕

   で、ともかく料金としては、日本語の場合は字数で、英語は語数でした。ただ、英語の場合、1134とかだと 4 words の計算だったようですし、1b は 2 words。

  料金体系は、上述のようにくわしいことはまだ調べられておらんのですが、作品の記述としては、25セントで、かつ、それぞれの文案は 5 words だということはわかります。だから、たぶん(ですが)、5語25セントという基本料金内ではないかと。検索をすると "5-word telegram" みたいなフレーズもあるようなのですが、10 words が基本だったこともあるようで、よくわからないのです。

  日本語への翻訳は、どうやら字数まで合わせるほどヒマな人はいなかったようです。

  たとえば遠藤寿子の訳――

  スミスサンハヤカンアタマデス
   あるいは
  スミスサンハハゲテイマセン
   または、
  スミスサンハシラガデス

  中村佐喜子の訳――

    スミス氏はかんぜんなはげ。
  または
    スミス氏ははげていない。
  または
    スミス氏はしらが。

  東健而の訳――

  ミスター・スミスは薬缶なり
とか、
  ミスター・スミスは禿に非ず
とか、
  ミスター・スミスは白髪なり

  で、ひまなので、考えてみたのですが、

スミスシマルハゲ
スミスシハゲナシ
スミスシハクハツ

  で8文字でそろえてみましたw

  しかし、8字というのは料金的にもったいないので、10字まで(という時代があったかどうかわからんのですが)延ばして、――

スミスシツルマルハゲ
スミスシハゲナシサン
スミスシハクハツモチ

  ・・・・・・不毛とは言わずとも無駄があるような。

 


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