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1919――『蚊とんぼスミス』――東健而の『あしながおじさん』 (4) Azuma Kenji's Translation of Daddy-Long-Legs [Daddy-Long-Legs]

東健而による Daddy-Long-Legs の邦訳が、1929(昭和4)年の改造社版世界大衆文学全集第34巻『世界滑稽名作集』以前に出ていたかどうか、ずっと気になっておったのですが、国会図書館やWorldCat の情報に見つからず、ふつうに検索してもWEBでは詳しい証拠や情報が出てこないので、どうしたものやら、と思って、つまるところ忘れておりました。

  が、1919年のサイレント映画 Daddy-Long-Legs を見た――YouTube とかだと12回――ついでに、それの邦題『孤児の生涯』で出てくる日本語のデータ「孤児の生涯とは」を読んで、どうやら、ほんとうに存在していたように思われてきました。――

ピックフォード嬢がアートクラフト社からファースト・ナショナル社へ移ってからの第一回作品で、監督は最近独立作品を発表して居るマーシャル・ニーラン氏で、劇中氏は珍らしくもジムミー〔=ジミー〕の役を演じて居る。対手はマーロン・ハミルトン氏で、人情味豊かな喜劇である。原作はジーン・ウェブスター女史で、既に「蚊とんぼスミス」として邦譯されて居る。 〔KadokawaMarketing/キネマ旬報社 weblio辞書 「孤児の生涯とは」内の「解説」 <http://www.weblio.jp/content/%E5%AD%A4%E5%85%90%E3%81%AE%E7%94%9F%E6%B6%AF>〕

   いつの文章か典拠がないので不明なのですが、日本語のトーンがとても古く、かつ同時代的なのです。


Daddy-Long-Legs 1/12 (1919) posted by "cinemillenium2" on February 2, 2009

    それで、カリフォルニア時間ブログで、フォスターとかでよくやったように古本屋コンソーシアムの検索をかけてみました。日本語のはあんまり使ったことがなかったのでしたが。そしたら出てきました。―― 「日本の古本屋:書誌検索結果一覧」<http://www.kosho.or.jp/public/book/basicresult.do;jsessionid=C9531C3F2FB4010B863C898FE5F65688> 。

   ウヱブスター著 東健而訳 秋草弥三郎装 『滑稽小説蚊とんぼスミス』 大9、函

  やっぱり古本の世界はすごいです。国立国会図書館にもない本もあるし。残念ながらあとは「見返欠・函少傷」といったコンディションの記述だけで、初版が前年の大正8年すなわち1919年であったのか、出版社は玄文社なのか(出版社くらい書いてよ、と実はいいたいいです)、判型はどうか、総ページは何ページで序文や解説はどうなっているのかなどの詳しい情報は書かれていません。36,750円もするのでモーリちゃんの父には手が出ませんが、神保町の古本屋なので、ヒマができたら寄って見てみようと思います。

  あと、秋草弥三郎というのは挿絵画家で、児童書とか婦人雑誌にも挿絵を書くようになった人だと思いますが、大正8年というと芸大を出てすぐぐらいの歳だったのではないかと思われ。どういうかたちでかかわったか気になります(装丁だけかもしれないのですが)。10年後の改造社版ではウェブスター原著の挿絵が使われていました。


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