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いつもあなたの――真にあなたの友である Yours Ever: Very Truly Yours [作家の肖像]

9時に起きて心に残るニッポンの歌を見ながら、CMを見て女の子の女の子による女の子のためのランドセルの優香の妹のような顔をした女の子は伊藤綺夏というんだということを調べた元旦です。本年もよろしくお願いします。昨年はカリフォルニアにいて時差もあったのであいさつとか考えていなかったような気がします。照れるなあ。

  『あしながおじさん』4年生12月14日の手紙で、ジュディーは夢の話を書きます。――

I dreamed the funniest dream last night.  I thought I went into a book store and the clerk brought me a new book named "The Life and Letters of Judy Abbott."  I could see it perfectly plainly―red cloth binding with a picture of the John Grier Home on the cover, and my portrait for a frontispiece with, "Very truly yours, Judy Abbott," written below.  But just as I was turning to the end to read the inscription on my tombstone, I woke up.  It was very annoying!  I almost found out who I'm going to marry and when I'm going to die. (Penguin Classics 112)
(昨晩とてもおかしな夢をみました。たぶん本屋に入ると、店員が新刊書をもってきて、それが「ジュディー・アボットの生涯と手紙」というのです。この目で完全にはっきりと見えたのです――赤いクロス装で、カバーにはジョン・グリアー・ホーム孤児院の写真が使われています、そして口絵にはわたしの肖像が載っていて、その下には「真にあなたの友である、ジュディー・アボット」と書かれていました。けれども、ページをしまいまでめくっていってちょうどお墓に刻まれた碑銘を読もうとしたところで、目が覚めました。あーん、じれったい! もうちょっとで、わたしが誰と結婚し、わたしがいつ死ぬのかがわかるところだったのに。)

   "Very Truly Yours" というのは、もちろん手紙の結句として "Yours" のあまたあるヴァリエーションのひとつですけれど、思えば、手紙だけでなく俳優やアイドルのブロマイド写真とかにも書き込まれますね。署名を書いて渡す写真が手紙の一種という感覚があるからなのかしら。

  ジーン・ウェブスターの故郷の Fredonia 近辺の地方紙に、死後に掲載された記事にはウェブスター直筆署名入りの写真が付されています。――

20CentralPomfretJeanWebste-modifiedC.jpg

  Yours ever と書かれ(自信90パーセント)、下にJean Webster と書かれた署名の終わりが切れていて、autograph 収集家のThomas Madigan だったら嘆いたかもしれません。つーか、自分も残念なのですけれど、ともかく署名&肖像&手紙結辞の3点セットです。

  正月なので書き写して訳もつけてみます。

JEAN WEBSTER, above, writer of a number of books for girls, was born at Fredonia in 1876, the daughter of Charles L. Webster, a young civil engineer and surveyor who married Ann Moffett, daughter of Samuel Clemens (Mark Twain's) sister, Pamela Clemens Moffett.  Mr. Webster later became Mark Twain's partner in a publishing business.  The family lived in the house on the corner of Central avenue and Temple streets [sic], now known as the Larson Memorial chapel.  This house was built in the early 19th century for Colonel Thomas Abell.  When Mr. Webster bought it he named it "Interstrassen" (between two streets), and it was here that his daughter Jean was born.
     Jean Webster was a graduate of Vassar, class of 1901, and class-mate of a number of well-known Dunkirk and Fredonia women.  In 1915 she married Glenn Ford McKinney of New York, and died in child-birth a year later, on June 11, 1916.
     Some of her books were "When Patty Went to College", "Just Patty", "The Wheat Princess", "Much Ado About Peter", "The Four Pools Mystery".  However, her best known work was the popular "Daddy Longlegs"[sic], which went through numerous printings, and was made into a silent movie starring Mary Pick[f]ord.―L. F. C.

ジーン・ウェブスター(上)は、少女向けの本を何冊も書いた作家で、1876年フレドニアにチャールズ・L・ウェブスターの娘として生まれた。父親のウェブスター氏は若い土木技師・測量士で、サミュエル・クレメンズ(マーク・トウェイン)ののパメラ・クレメンズ・モフェットの娘のアン・モフェットと結婚。のちに出版業でマーク・トウェインの共同経営者となった。一家はセントラル街とテンプル通りの交わる角の、現在ラーソン・メモリアル教会のあるところに住んでいた。この家はトマス・エーベル大佐のために19世紀はじめに建てられたもの。家を買い取ったウェブスター氏は「インターストラッセン」(2本の通りの間)と命名、この家で娘のジーンは生まれた。
  ジーン・ウェブスターはヴァッサーの1901年度卒業生で、何人かの著名なDunkirk とフレドニア出身の女性たちと同級生である。1915年にニューヨークのグレン・フォード・マッキニーと結婚し、一年後の1916年6月11日、産褥時に逝去した。
  女史の著作には『パティーが大学へ通ったころ』、『いかにもパティー』、『小麦姫』、『ピーター騒ぎ』、『フォープールズの謎』などがある。しかし彼女の最もよく知られた作品は、たいへん読まれた『あしながおじさん』で、多数の版を重ね、メアリー・ピックフォード主演のサイレント映画にもなった。

  最後の映画の言及で、この記事が1919年以降に書かれたもので、いわゆる obituary ではないことがわかります。フレドニアという地元関係の情報を書くのが筆者の頭にはあるわけで、そのへんで、トリヴィアなことがいくつか書かれている、ような気がします。

    ところでジュディーはジェルーシャ・アボットの名前を、リペット孤児院長により墓石と電話帳からとられたことになっていますが、1919年のサイレント Daddy-Little-Legs (邦題『孤児の生涯』)でそれは画像化いや映像化されています。――

WS000058Daddy-Long-Legs(1919).JPG

WS000059Daddy-Long-Legs(1919).JPG

   この人差し指は、リペット院長役の Milla Davenport の右手です。

WS000060Daddy-Long-Legs(1919).JPG

    ランプがあるので一枚だけメアリーさんの映像をば――

WS000138Daddy-Long-Legs(1919).JPG
Mary Pickford in Daddy-Long-Legs (1919)

  あと、ついでながら、"Truly yours"/"Yours truly" は、ちょっとした知人へ、"Yours very truly"/"Very truly yours" は、形式ばった丁寧さ、"Yours ever" は、親友間、というようにいちおう「親疎」の区別がされているようです。

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  追伸。すいません。朝雑煮を食べるために途中まで書いたのを「下書きに保存」したつもりだったのが後悔いや公開されてしまっていたようです。まことに失礼しました。

 


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kaoru

こんにちは。
御家族の皆様共にご健康に恵まれ
素晴らしい一年を過ごされますよう
お祈り申し上げます。
今年も魅せられる記事を
楽しみにしています。
本年も宜しくお願い致します。
by kaoru (2010-01-01 14:05) 

morichanの父

kaoruさま
新年おめでとうございます。
ご丁寧にありがとうございます。
どう考えても、見せられるぐらいを心がけて勝手なことを書くしかないというか、自分には書けないような自覚はあります。読者10人になったらうれしいです。
ご健筆とご健康を念じつつ。

あ、あと、この記事だいぶ書き足しました。
by morichanの父 (2010-01-01 15:14) 

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