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タンスをウィンドウ・シートに改造する Converting a Bureau to a Window Seat [Daddy-Long-Legs]

1月12日の記事「ウィンドウ・シート Window Seat」の最後のところで、「窓辺に腰をおろして外を眺めるのが好きだと思われるジュディーは、大学の寮の部屋の窓が高いので、自分でウィンドウ・シートをこしらえることになります。その工作・工程がよくわからないので、その話はまた別の機会に」と書きました。

  それは、10月10日の手紙で、ミケランジェロの話(「マイケル・アンジェローとミケランジェロ Michael Angelo or Michelangelo」参照)とメーテルリンクの話(「メーテルリンクは新入生の女子の名前か Somebody Mentioned Maurice Maeterlinck, and I Asked If She Was a Freshman」参照)をして無知を語ったあと、部屋の模様替えの話(前段は「茶と黄のシンフォニー  Symphony in Brown and Yellow」参照)に移ってでてきます。

The windows are up high; you can't look out from an ordinary seat.  But I unscrewed the looking-glass from the back of the bureau, upholstered the top, and moved it up against the window.  It's just the right height for a window seat.  You pull out the drawers like steps and walk up.  Very comfortable!
(窓が高いです。ふつうのイスだと外が見えません。でも、タンス (bureau) の後ろからネジを抜いて鏡をはずし、上を布張りにして、窓際に寄せました。ちょうどウィンドウ・シートにおあつらえむきの高さになります。引き出しを踏み段みたいにひっぱり出して、のぼるのです。とても快適!)

  いくつか既訳を並べてみようと思ったのですがバラバラに散らばって参照できませんw。ひとつだけ、白木茂の説明的な訳を――「それから、たんすのこと。これを、ひとことお知らせしておかなければなりません。あたしのへやの窓はとても高くて、ふつうのいすに腰をおろしていたんでは、外がまるっきり見えません。それで、あたしのたんすは鏡台つきなんですけど、この鏡台をはずしてしまって、問題の窓の下におきました。たんすの高さは、ちょうど、窓べりと、おんなじなんです。ひきだしを段々にして、これにあがると、まったくすてきな見晴らし台です。」(正進社名作文庫 24-25)

  ちょうど窓べりとおなじ高さだと危ないと思うんですけど(爆)。

  この一節には、bureau, upholster, window seat という、意味がモワ~ンとしたコトバがん並んでいて、それで最初とまどったのでした。bureau というのは、イギリス英語としては、つまりもともとの意味としては、引き出しつきの(書き物)机 (a writing-desk with drawers) です。これを通例鏡つきの洋服ダンスの意味で使いだしたのはアメリカニズムです。アメリカニズムには dresser というコトバもあって、こちらはbureau より後発で19世紀末に使われだしたようですけど、少なくとも現在ちがいはないみたい。日本語のカタカナコトバとしては、引き出しつき事務机のほうはイギリス英語のbureau から、鏡つき洋服ダンスのほうはアメリカ英語の dresser からいただいた、ということでしょうか。

  それから upholster というのは、第一の意味として、部屋をじゅうたんや家具やカーテンなどで装飾する、家具を取り付ける、という意味、それから二番目に、イスとかソファーに詰め物やスプリングや覆いなどをつける、布張りする、、という意味があります。ここではもちろん二番目の意味ですが、それでも意味が細分しているのでよくわからないのです。まあ、綿とかクッションを入れたうえで表面を布張りするというようなことまでやるとは思われませんので、畳んだ布を上に敷くくらいかなあ、と勝手に想像しています(要するに「アップホルスター」とは呼ぶけれど、実態はほとんどそれではない、みたいな)。

  window seat については前の記事で書いたように、窓の外を見るのに適当な高さ(だから普通の窓との関係だとベンチくらい)の長いすだと思うのです。そして、いま、OED をひいてみたら、"window-seat, a seat fixed under a window or windows, in a room usually in a recess or bay, often upholstered; also a seat by the window in a train, bus, aeroplane, etc." と書かれていました。しばしば "upholstered" されている。なるほど。それでジュディーはこだわったのね。

A-WINDOW-SEAT-BUILT-OUT-FROM-THE-WALL.jpg
"A Window Seat Built out from the Wall" image via "XXI. Window Seat And Cushon Covers," [from Home Furnishing, Practical And Artistic, by Alice M. Kellogg] <http://chestofbooks.com/home-improvement/furniture/Practical-Home-Furnishing/XXI-Window-Seats-And-Cushion-Covers.html>

   upholstered window seat を探していきついたページより。ウィンドウ・シートの歴史が書かれています。もともと厚い壁だったときに窓の下の部分にベンチを設けたのが、壁が薄くなってからもつくられたという話。

  このタンスは卒業生の競売 (Senior auction) で買ったということですし、どうやら5ドル未満だったらしいので、立派なものではないのかもしれません。でも時代が時代ですから、勝手なイメジとしてはこんなものかな――

H01-05_Dresser_Mirror.jpg
「ドレッサーセット」 image via 「ミラノデザイン/ヴェニスシリーズ」 <http://www.milano-design.co.jp/venice.html>

  豪華すぎるでしょうか。ではこんな――

dresser.jpg

  でも長さからいうとこれとか快適そう――

18355686.jpg
image: cana さん@フォト蔵 <http://photozou.jp/photo/properties/228471/18355686>

Dresser-Complete.jpg
image via "A Dresser For Child's Playroom" <http://chestofbooks.com/crafts/popular-mechanics/Mission-Furniture/A-Dresser-For-Child-s-Playroom.html>

  これはアンティークのように見えますが、じつは設計図もついていて、DIY のページです。

Details-of-Dresser.jpg

  ウィンドウ・シートに正座すると部屋の内部に向かうことになり、窓の外に背を向けることになるので、横向き、あるいは斜め向きで座る長さが必要ですよね。完全前向きは子供が電車の窓外を見る姿勢ですが。

  記事「ウィキペディアの外部リンク External Links of Wikipedia」で間接的に紹介したイラストレーター Laura Diehl さんの絵をあらためて見ると、タンスとクッションと窓の関係で苦心したさまがうかがえます――"Laura Diehl Illustration News: Daddy Long Legs (just about done)" <http://ldiehl.blogspot.com/2009/03/daddy-long-legs-just-about-done.html>。足元にチェストの角が出ています。でも奥行きがないです。ブランケットみたいのが手前からチェストの上まで伸びています。手前に何があるのかわかりません(たぶんベッド?)。窓が開いているだけでなく、窓の枠より上に座っています。とても危ないです。

  自分のえらく勝手な計算では、ふつうのウィンドウ・シートは35~45センチの高さで、窓は60~90センチ(適当に書いてます)。ジュディーの部屋の高い窓は少なくとも120から140センチくらいあって、タンスが80センチから100センチくらいかなあと(すっげー適当)w。タンスが70センチ足らずなら段々いらんと思いますし。


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morichanの父

pcluxury さま、nice どうもありがとうございます♪
by morichanの父 (2010-03-08 12:15) 

morichanの父

ゆとりOL さま、nice ありがとうございます。ツタンカーメンの子供の話は自分で調べてみます。失礼しました。
by morichanの父 (2010-03-08 12:16) 

morichanの父

kaoru さま、ヘンな記事をいつも読んでいただきありがとうございます。
by morichanの父 (2010-03-08 12:17) 

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