ジーン・ウェブスターの、『あしながおじさん』の、コンコーダンス Concordance to _Daddy-Long-Legs_ [Daddy-Long-Legs]
有名なMitsu M―― (ミッツ・マングローヴではない)さんの『ヴィクトリア朝文学研究アーカイヴ The Victorian Literary Studies Archive』内の「ハイパー・コンコーダンス」なるものを探っていたら、なんと作家一覧のなかに Jean Webster がいた(あったー)ので驚くと同時に期待したのだけれど、作品は『あしながおじさん』一作のみ対象だった。
なーんだ。それだったら手持ちの電子テクストに検索かけるよ。
ちょっと癪にさわったので(まあ、いいがかりみたいなものだけれど)、どの版を使っているのか調べようとしたら、クレジット的なものはどの作家にも見つからなかった。
と、そこで、以前(今年の正月に)「『あしながおじさん』のテクスト問題 (1) ――イギリス版を使っているらしいプロジェクト・グーテンベルクの電子テクスト Problems of Texts in Daddy-Long-Legs (1): Project Gutenberg E-text」という記事を書いていたのを思い出して、ためしにイギリス綴りの cheque と theatre を入れたらモロにヒットした。
でもヒット数がわかるとともに一覧をただちに見られるのは意味がある。
しかし、版はオリジナルのはずもなく、結局WEB上のE-text なのだろうなあ、とプロジェクト・グーテンベルグの誤植を検索してみると、やっぱりヒットした。
"shiny" という英語はあるけれど(「光沢のある」「ぴかぴかする」)、ここではほんとは "shinny" が正しい。シニーというのはホッケーを簡単にしたようなゲームで、 shinny stick というのはその競技用のスティックですから。
カエルがとってもジューシーという、この英語は juiciest (juicy の最上級)が明らかに正しく、JUCIEST は完全な誤植です。そして、強調のイタリックを大文字で代替するのは、グーテンベルグの『あしながおじさん』 e-text 作成者がとった特徴的手段でした。
ということで、コンコーダンスの依拠するテクストはアメリカ版でなく、かつ、独自の誤りをもっているグーテンベルグのe-text なのでした。これはあかん。あかん、あかん、あかん、あかんくないw
それはそれとして、実はポー作品のコンコーダンスを探していてこのハイパー・コンコーダンスに来たのでしたが、ポーのエディションもなんだか定本的なものでなさそうなだけでなく、"Select Book" の選択が、"Poems" と "Short Novels" と、そして "Short Stories" になっていて、後二者の分類がわけわからず。これがメルヴィルとかノリスとかだととりあえず長篇小説のタイトルが並んでいるので、テクストの信頼性はともかく何がおさめられているかわかるのだけれど。
PS. タイトルを Daddy Long-Legs としているのは、あかん。
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