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ジュディーとパティーのスカート丈 Skirt Length [Daddy-Long-Legs]

前の記事で掲載したヴァッサー女子大の1904年のField Day の写真を見てほぼ確信したのですけれど、1911年の C. M Relyea による Just Patty の挿絵は、少なくとも1890年代の女子大ないし女子寄宿学校におけるセーラー服ないしミディーブラウスの着用の様子について、少なくとも着丈について歴史の事実を反映しており、いっぽう1年後の1912年に刊行された『あしながおじさん』の作者自身の挿絵は、逆に、作家が学生だった1890年代の着丈を反映しておらんのではないか。

  2年生5月の Field Day の50ヤード競走のイラスト(ミディーブラウスというのではないのですが・・・・・・それにボトムはブルーマーぽいですが)――

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(Century 初版 150ページ)

    1年生10月25日付の手紙に描かれるバスケットボールのイラスト(やっぱりセーラーブラウスというのではないのですが――ちょっと微妙な省略的な線w――)――

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(Century 初版 40ページ)

    これは手紙本文中の「つまらなかったらくずかご(waste-basket) にほうってね」というのと響きあっているところなきにしもあらずなのでしょうけれど、実際バスケのチームに選抜され、左肩に青あざと赤あざをつくって奮闘している様子をこの前のページに書いています。

  で、どちらもボトムは bloomers というやつなのでしょうけれど、ひざ下丈です。基本的に、『あしながおじさん』に描かれるスカート類はだいたいひざ丈かひざ下丈ではないでしょうか。

  これまで載せた画像(とくにセーラーとは思われませんが)を再掲すると――

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  で、おそらくこのスカート丈は、ジーン・ウェブスター自身がレイディー・ジェーン・グレイ・スクールやヴァッサー・カレッジに通った1890年代よりも短く描かれているのでしょう。

   1911年の Just Patty の挿絵を描いたC. M Relyea が、10年後の1921年に Century 社から出版された Augusta Huiell Seaman (1879-1950) の小説 The Slipper Point Mystery に付したイラストは、10年ないし20年の間に短くなったセーラー服を示唆しているように思われます。――

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The Slipper Point Mystery (1921)

  もちろん、第一次世界大戦後のモガ的・フラッパー的ショートスカートというのは大きな変革としてあったわけですけれど、1912年の『あしながおじさん』における著者自身のイラストは、前年の、おそらく1890年代から20世紀初頭を「歴史」的に意識してC. M Relyea が描いたと推測されるスカート丈から、格段の変化を遂げていたように思われ。それは作家自身が自分の過去の歴史(1890年代)ではなくて、作品が出版される1910年代を意識したからだと思われ。

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Just Patty (1911)
 

 


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