おちゃめなパッティ Patty [Just Patty]
ジーン・ウェブスターの作品の(『あしながおじさん』と『続あしながおじさん』以外の)邦訳を調べていて思ったこと。を書くための前段。
まず、訳を並べてみます。――
○When Patty Went to College (1903) の訳――
『パティ、カレッジへ行く』 内田庶 訳 宮田武彦 絵 講談社, マスコット文庫, 1967
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『おちゃめなパッティ 大学へ行く』 内田庶 訳 サカイノビー絵 ブッキング, 2004年5月
これはウェブスターの処女出版となる、全15章の小説で、主人公の Patty が既に大学に入って上級生になっている(たぶん4年生にあがった)ところから始まります。原書のイラストはのちの1911年の Just Patty とは違う画家 C. D. Williams によるものです。
"Patty" Frontispiece, When Patty Went to College (1903)
けっこうおとなっぽいです。内田庶による訳は、『ジェリーは若い』 榎林哲訳 講談社, マスコット文庫, 1967、『ピーターは忙しい』白柳美彦訳 講談社, マスコット文庫, 1967 と同じ年に出ていますけれど、イラストがどうだったのかはわかりません。近年の復刊は Just Patty の翻訳と同じサカイノビーという人による新しい挿絵と表紙絵になっています。
○Just Patty (1911) の訳――
a1) 『女学生パッティ』 遠藤寿子訳 三笠書房, 若草文庫, 1955
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a2) 『おちゃめなパッティ』 遠藤壽子 訳 サカイノビー絵 ブッキング, 2004年3月
b1) 『おちゃめなパッティ』 白木茂 訳 桜井誠 絵 岩崎書店, 世界少女名作全集, 1964
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b2) 『おちゃめなパッティ』 白木茂 訳 くずまりこ 絵 岩崎書店, 世界の少女名作, 1991年4月
c) 『おちゃめなパッティ』 宇野輝雄 訳 集英社, マーガレット文庫, 1977年1月
d) 『おちゃめなパティー』 榎林哲 訳 講談社, セシール文庫, 1981年9月
"Patty just had time to snatch the box" pp. 88-89, Just Patty (1911)
こちらはパティーがまもなく大学に親友のプリシラと進学することを決めている、そういう時期の物語で、全12章からなります。フィニッシングスクールと考えられるセント・アーシュラの最高学年(4年目らしい)にパティーが進級したところから話は始まります。
気になったのは(とりあえずスカートの丈ではなくてw)第一に「パッティ」という表記、第二に「おちゃめ」という形容です。が、眠いのでつづきます。
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