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腫れた扁桃腺 Swollen Tonsils [Daddy-Long-Legs]

新しい診療所にジュディーが入院するのは1年生3月末のことです。入院して5日後くらいの4月2日の手紙――

     I am a BEAST.
     Please forget about that dreadful letter I sent you last week―I was feeling terribly lonely and miserable and sore-throaty the night I wrote.  I didn't know it, but I was just coming down with tonsilitis and grippe and lots of things mixed.  I'm in the infirmary now, and have been here for six days; this is the first time they would let me sit up and have a pen and paper.  The head nurse is very bossy.  But I've been thinking about it all the time and I shan't get well until you forgive me.
     Here is a picture of the way I look, with a bandage tied around my head in rabbit's ears.
     Doesn't that arouse your sympathy?  I am having sublingual gland swelling.  And I've been studying physiology all the year without ever hearing of sublingual glands.  How futile a thing is education!
     I can't write anymore; I get sort of shaky when I sit up too long.  Please forgive me for being impertinent and ungrateful.  I was badly brought up.  (Penguin Classics 33-34)
(わたしはケダモノよ。
先週あなたに送ったあのおそろしい手紙のことはどうか忘れてください――書いた夜はすごくさびしくて情けなくてのどが痛かったんです。自分ではわからなかったのですけれど、扁桃腺炎 (tonsilitis) と流行性感冒 (grippe) とその他もろもろ一緒くたにかかりかけていたのでした。わたしはいま診療棟にいます。もう6日ここにいます。今日、初めて、体を起こしてペンをもつことを許されました。看護婦長はとてもいばりん坊です。でも、わたしはずっとあの手紙のことを考えていました。あなたが許してくださるまでわたしはよくならないでしょう。
  わたしがどんな感じか絵で示します。頭に包帯を巻いてウサギ耳のようなかっこうに結んでいます。
Daddy-Long-Legs(Century,1912)68-69.jpg
  これを見て同情の念が起きないでしょうか? わたしは舌下腺が腫れています。1年じゅう生理学を教わりながら舌下腺なんて一度も聞いたことがありませんでした。教育とはなんと無益なものでしょう!
  もう書けません。あんまり長く体を起こしているとちょっと震えます。どうか失礼で恩知らずなことを申し上げたのをお赦しください。わたしは育ちが悪かったのです。

  先週の手紙というのは3月26日のもので、何を訊いても返事をくれず、自分に少しも関心を示さないあしながおじさんに対して、①いやな理事たちのなかでもたぶん最悪の理事である、②自分を教育する理由は義務からにすぎない、③<モノ Thing>にむかって手紙を書くのはじつに張り合いがない、④自分の手紙は読まずにゴミ箱に捨てているのだろう、と並べ立てて、ラテン語と幾何の再試は先週受けた、と報告する手紙です。
  感情的にダディーにぶつかって、そのあと悪いと反省して、「わたしは×××よ」、というのは、2年生4月11日の「わたしはムシ (Worm) よ。1000本足のムシよ。」というのと同型です。

☆  ☆  ☆

さて、扁桃腺というのは、いちど扁桃腺炎にかかると、菌がなくならないためにくりかえし発症するので、昔から扁桃腺の切除ということが行なわれてきました。
  ジュディーの場合、手紙で判断する限りでは、4年生1月9日に再び扁桃腺炎にかかっていることが語られます。――

I address you, Daddy, from a bed of pain.  For two days I've been laid up with swollen tonsils; I can just swallow hot milk, and that is all.  "What were your parents thinking of not to have those tonsils out when you were a baby" the doctor wished to know.  I'm sure I haven't an idea, but I doubt if they were thinking much about me.  (Penguin Classics 115-6)
(ダディー、苦しい病床からお便りします。扁桃腺が腫れて二日間床についています。やっと温かいミルクがのめるだけで、ほかは何も呑みこめません。「こんな扁桃腺を赤ちゃんのときに取ってしまわなかったなんて、あなたの両親は何を考えていたのかしら」と医者は知りたがりました。わたしだってちっともわからないことは確かですけれど、親がわたしのことをあんまり考えていたとは思えません。)

  夕ご飯の時間です。扁桃腺切除手術の話(ジュディーがじゃなくて一般論)はまたつぎに。

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「扁桃」 Wikipedia <http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%89%81%E6%A1%83%E7%82%8E>

"Tonsil" Wikipedia <http://en.wikipedia.org/wiki/Tonsil>

「扁桃炎」 Wikipedia <http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%89%81%E6%A1%83%E7%82%8E>

"Tonsillitis" Wikipedia <http://en.wikipedia.org/wiki/Tonsillitis>

"Tonsillectomy" Wikipedia <http://en.wikipedia.org/wiki/Tonsillectomy> 〔扁桃腺切除手術〕

"Nation's ENT Surgeons Respond to President Obama's Press Briefing Remarks on Tonsilletomy Procedures" <http://www.businesswire.com/portal/site/google/?ndmViewId=news_view&newsId=20090723006009&newsLang=en> 〔BusinessWire, July 23, 2009〕


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