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紬(Tsumugi) - 外国人名対訳辞書(自動編纂)に恥をさらす [辞書・辞典・事典類]

以前「大天使ミカエルが踏みつぶすものたち(1) Those Whom the Archangel Michael Treads (1) [ひまつぶし]」という記事で画家のグイド・レニを誤って Guide Reni と綴ったら、

紬(Tsumugi) - 外国人名対訳辞書(自動編纂)

で、自動的にとりあげられてしまった(涙)。

  紬 (Tsumugi) というのは、名古屋大学工学研究科の佐藤理史(Sato Satoshi)研究室のプロジェクト――よくは知りませんが、「ことば不思議箱」と称される――のひとつです。「辞書の編纂作業を100%自動化することはできるでしょうか?」というのが「まえがき」冒頭の一文ですけれど <http://kotoba.nuee.nagoya-u.ac.jp/tsumugi?pl=ja>、「・その人名に対して、すでにカタカナ訳があるかどうか ・複数のカタカナ訳がある場合は、それらの使用や定着の度合」を示すのが具体的な内容です。

  で、それはそれで役に立つところ、あると思います。おおいに。おおきに。

  でも固有名詞の発音って、誤ったものがたくさんあって、直せるものは直すべきだと思っています。たとえば Reynolds はレイノルズと表記されることが多いけれど、「レイ」じゃなくて「レ」です。ちなみに、紬では、予想される事態ですけれど、「レイノルズ」が一番多い。――

 

WS000602.JPG

  いったい、この「レイノルズ」の「写字度」1.00 はどのように計測されているのか。ちなみに個人的には「レノルズ」を選びますが、原音にいちばん近いと考えられるのは「レルズ」でしょう。〔9月9日朝追記 書き間違っていました。で、レナルズかもしれんけどレノルズを自分が選ぶのは、原綴りとの近さ(a か oか) です。レナルズと書くようになると、Arnold をアーナルドと書かねばならない強迫観念に捉えられそうでイヤ。ワトソンじゃなくてワトスンというのと近いとこがある。〕

    固有名詞の記述の説明の例として挙がっているのが女優の Keira Knightley で、おまけに「ナイトレイ」が残るだろうとの「予測」がされています。――

本辞書が対象とする人名対訳は、ラテン文字で表記される原綴とそのカタカナ訳です。

ラテン文字で表記される原綴:Keira Knightley
そのカタカナ訳:キーラ・ナイトレイ

 

カタカナ異表記

外国人名のカタカナ訳の作り方には、厳密な規則は存在しません。基本的には、原綴の発音を、日本語の音で近似して表記します。しかし、この近似は一意には定まらないため、複数のカタカナ訳が生まれます。

多くの場合、時間の経過とともに、そのうちのいずれかが社会に定着して代表的なカタカナ表記と認知されるようになり、他のカタカナ訳は異表記の地位に追いやられて、しだいに姿を消していきます。しかしながら、まれに、複数のカタカナ表記が生き残り、それらが使われ続けることもあります。

ラテン文字で表記される原綴:Keira Knightley
メジャーなカタカナ訳:キーラ・ナイトレイ
マイナーなカタカナ訳:キーラ・ナイトレー
マイナーなカタカナ訳:キーラ・ナイトリー

 

現在の情勢では、おそらく生き残るのは、「キーラ・ナイトレイ」

複数のカタカナ訳がある場合、そのうちのどれを用いるかは、文章の書き手が決めることです。いちばん良く使われているカタカナ訳を用いるという考え方もありますし、より原語の発音に忠実なカタカナ訳を用いるという考え方もあります。そこには、正解という概念は存在しません。

  そーかなー。 そもそもキーラ付きのナイトリーは時間をあんまり経過したわけじゃないですし、Knightley なんて名のひとが他にいたかしら(そりゃあいるけど)。・・・・・・類比的には、作家の Aldous Huxley の表記ですかね。むかしはハックスレーとかハクスレイとかハクスレーとか書かれたけれど・・・・・・いっぽう20年位前に原稿でハクスレーと書いたら、イギリス帰りの女の子に、ヘンだ、下層階級の発音みたい、みたいに言われたw・・・・・・おー、日本語ウィキペディアは見出しを「オルダス・ハクスリー」としたうえで、「※表記には、ハックスリー、ハックスリイ、ハックスレー、ハックスレイ、ハックスリ等がある。」と注記してますな。まあ、日本語ウィキは原音表記が好きな執筆者が多いみたいですけど・・・・・・以前 Ralph Waldo Emersonのカタカナ表記について議論が戦わされているのを読んだことがありますけれど、いま見てみると、エマスンじゃなくてラルフ・ワルド・エマーソンとなってますな。おかしー。

  問題は「近似」するときに、まちがって捉えられることがしばしばあることです。 Geoffrey は「ジョフリー」ではなくて「ジェフリー」ですし、Andrew はアンドルー、 Andrews はアンドルーズです。この違いというのは、パティー/パッティー/パッティとかワトソン/ワトスンとかハクスリー/ハックスレー/ハックスリー・・・・・・の表記違いとは別の問題があると思うのだけれど。で、Reynolds のレイノルズもそうだと自分には思われ。

  普通名詞の screw を「スクリュー」じゃなくて「スクルー」とするとか、hose を「ホース」じゃなくて「ホーズ」とするとかする必要はまったくないし、カリフォルニアをキャリフォーニャとつづったってしょうもないと思いますし、バークレーもバークレーのままでいいと思いますけれど、明らかに間違っている固有名詞で、直せるものは直せばいいと個人的には思います。アメリカの東部の州のMaryland を「メアリーランド」というふうに発音するイギリス人はいるけれど、日本ではちゃんと「メリーランド」と表記するようになっているわけで、それこそ引用にあるように、だんだん変化していくのではないかしら。正しい表記という概念が存在しないとしても誤った表記という概念が存在するならば(それが存在しないなら、なにをどう発音してもいいということになってしまう)、淘汰はされるでしょう。

  しかし、パンティかパンティーかという、根本的な問題をいっぽうで日本語は抱えておるのが悩ましいところです。自分は、前にも書いたけれど、パッティじゃなくてパティー、ダッディじゃなくてダディー派です。

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Photo Gallery for Keira Knightley @ soFeminine.co.uk <http://www.sofeminine.co.uk/w/star/p1492/photos/Keira-Knightley.html>

「キーラ・ナイトレイ -Wikipedia」 <http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%83%8A%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%AC%E3%82%A4>

「ノート:ラルフ・ワルド・エマーソン - Wikipedia」 <http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%88:%E3%83%A9%E3%83%AB%E3%83%95%E3%83%BB%E3%83%AF%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%BD%E3%83%B3>


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