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次元 Dimension (1)――バーネットの『白いひと』 [The White People]

なんか、前から、フォントについては四苦八苦しています。フォントの選択がブログ作成ページにはない。でもワードからコピペすると、スタイル情報とかで重たくなってしまうらしい。でも・・・・・・やっぱりほんとは英語の引用符とかシックスナイン(' ') ("") じゃなくて(‘ ’) (“ ”) で記したい、みたいな気持ちはあります。

  フランセス・ホジソン・バーネットの『白いひと』 Frances Hodgson Burnett, The White People (New York: Harper, 1917)。

  長らく尊敬してきた作家マクネアンとロンドンで知り合った語り手イザベル・ミュールキャリーは、マクネアンの母親とも親しくなります。マクネアン夫人といるとイザベルはいろいろなものが違って見えるようになります。夫人のほうは、イザベルが実体をもっていて溶けて消えてしまうことがないのを確かめるかのように、ときどき触れたりして、いつも自分のそばに置いておこうとするのでした。マクネアン家の庭で3人は黄昏から夜の闇に包まれるまで一緒に座って話をする日々を送ります。

   I don’t remember just how she began, and for a few minutes I did not quite understand what she meant.  But as she went on, and Mr. MacNairn joined in the talk, their meaning became a clear thing to me, and I knew that they were only talking quite simply of something they had often talked of before.  They were not as afraid of The Fear as most people are, because they had thought of and reasoned about it so much, and always calmly and with clear and open minds.    By The Fear they meant that mysterious horror most people feel at the thought of passing out of the world they know into the one they don’t know at all.    How quiet, how still it was inside the walls of the old garden, as we three sat under the boughs and talked about it!  And what sweet night scents of leaves and sleeping flowers were in every breath we drew!  And how one’s heart moved and lifted when the nightingale broke out again!    “If one had seen or heard one little thing, if one’s mortal being could catch one glimpse of light in the dark,” Mrs. MacNairn’s low voice said out of the shadow near me,  “The Fear would be gone forever.”

   “Perhaps the whole mystery is as simple as this,” said her son’s voice “as simple as this: that as there are tones of music too fine to be registered by the human ear, so there may be vibrations of light not to be seen by the human eye; form and color as well as sounds; just beyond earthly perception, and yet as real as ourselves, as formed as ourselves, only existing in that other dimension.”  
  There was an intenseness which was almost a note of anguish in Mrs. MacNairn’s answer, even though her voice was very low.  I involuntarily turned my head to look at her, though of course it was too dark to see her face.  I felt somehow as if her hands were wrung together in her lap.    “Oh!” she said, “if one only had some shadow of a proof that the mystery is only that we cannot see, that we cannot hear, though they are really quite near us, with us—the ones who seem to have gone away and whom we feel we cannot live without.  If once we could be sure!  There would be no Fear— there would be none!”   (Frances Hodgson Burnett, The White People, ch. 6 “The Fear,” pp. 61-63) (私はマクネアン夫人がいったいどういうふうに語りだしたのか覚えていません。そして、数分間は夫人の言っていることがまったく理解できませんでした。けれども、夫人が話を続け、マクネアンさんもその話に加わって、ふたりの語る意味が私にもはっきりしてきました。そしてふたりはかねてしばしば語ってきたことをごく簡潔に話しているにすぎないことがわかりました。ふたりは、たいていの人がおそれるようには<恐怖 The Fear>をおそれてはいませんでしたが、それは、ふたりがいつも冷静かつ明晰で心開いて<恐怖>について考えたり論じたりしてきたからなのでした。
  <恐怖>によってふたりが意味していたのは、たいていの人が、自分たちの知る世界から、まったく知らない世界へと移行することについて考えたときに感じる神秘的な恐ろしさのことでした。
  私たち3人が木の枝のしたに座ってそのことについて語りあったときの、古い庭の壁の中は、なんと静かで、なんと落ち着いていたことでしょう! そして、私たちが息をするごとに、葉や眠る花の、なんて甘い夜の香りがしたことか! そして、ナイチンゲールが再びさえずりだしたときに心がどれほど動かされ、高まったことか!
  「もしも、ほんのちいさなことを見るか聞くかしたなら――もしも地上的な存在である人間が、暗闇のなかに光の一瞥を捉えることができたなら」とマクネアン夫人の低い声が私のそばの暗い影から言いました、「<恐怖>は永遠に消え去るでしょう。」
  「もしかすると、神秘はこういうふうに単純なのかもしれない」と彼女の息子の声。「こんなふうに単純なのかも。人間の耳に留められるにはあまりに繊細な音楽の音があるように、人間の目では見られない光の振動があるのかもしれない。音だけでなく、形や色も。ただ地上的〔earthly 肉体的〕知覚を超えていて、それでも私たち自身と同様にリアルで、私たちのように形成され、あの別次元に存在しているだけというような。」
  マクネアン夫人の答えには、ほとんど苦悩の調子とでもいうような激しさがありました。その声はとても低かったのですけれど。私は思わず顔を向けて夫人を見ようとしました。もちろん暗すぎて顔は見えなかったのですけれど。それでも私はひざの上で両手が握り締められているような感じがしました。「ああ!」と彼女は言いました。「神秘というのが・・・・・・彼ら――逝ってしまったけれども一緒にいてくれなければ生きていけないと私たちが感じる人たち――が実は私たちのすぐそばにいるのに私たちには見られず聞けないということが神秘なのだ、という、ほんのかすかな証拠でも得られれば。一度でも確信を持てたなら! <恐怖>はなくなるでしょう――すっかりなくなるでしょう!」)

  ここで「次元 dimension」という(概念とまではいえずとも)コトバがもちこまれるのは、時代的なものがあるのかしら。とちょっと調べてみたい気になりました。(ああ、今回の主旨は、ただこの一節を書き留めることにこそあります。)

  


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