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ポーが書評した本 (10) 『サミュエル・ドル―伝』 (1835) Books Reviewed by Poe (10): _The Life of Samuel Drew_ by Jacob Halls Drew [ポーの書評 Poe's Book Reviews]

The Life, Character, and Literary Labours of Samuel Drew, A. M.  By His Eldest Son [Jacob Halls Drew].  New York: Harper, 1835.  363pp.

長男の筆になる 〔ジェイコブ・ホールズ・ドル―〕 『サミュエル・ドル―の生涯、人柄、そして文筆』   ニューヨーク:ハーパー、1835年。

LifeofSamuelDrew (Harper,1835).jpg

E-text at Internet Archive [University of Wisconsin; MSN] <http://www.archive.org/stream/lifecharacteran02drewgoog#page/n8/mode/2up>

 

  同じ年にロンドンでは第2版が出ています―― The Life, Character, and Literary Labours of Samuel Drew, A. M.  By His Eldest Son.  Second Edition.  London: Fisher, Son, and Co., 1835.  <http://www.archive.org/stream/lifecharacterlit00drew#page/n5/mode/2up> 543pp. 

  ポーは詩人として出発するわけですけど、詩では生計が成り立たず、散文に、小説に、批評に、編集に仕事を求めていきます。最初の短篇小説「壜のなかの原稿 MS. Found in a Bottle」を懸賞に応募して100ドルをもらったのが1833年10月。翌1834年の2月に死の近い義父のジョン・アランを訪ね、追い払われ、金のないポーを、友人の作家ジョン・ペンドルトン・ケネディーが新しい雑誌『サザン・リテラリー・メッセンジャー』の編集者トマス・W・ホワイトに紹介しました。短篇小説「ベレナイシィ」や「モレラ」、いくつかの批評が雑誌に載るようになるのは1835年春のことで、8月には編集補助として雇われ、1836年から、ホワイトと反りがあわなくなって(ポーの飲酒問題もあって)決別する(クビになる)、1837年1月まで中心的な編集者として旺盛な執筆活動をします。

  で、最初期の評論は、ポーのものがどれか必ずしも断定できないところがあるのですけれど、とりあえず、もっとも信頼できるポーリン編の次の本にしたがって、選んでいこうと思っています。――

[Collected Writings of Edgar Allan Poe, Volume 5]  Writings in The Southern Literary Messenger: Nonfictional Prose.  Ed. Burton R. Pollin and Joseph V. Ridgely.  New York: Gordian, 1997.

  ポーの最初の批評が載ったのは1835年4月号の『サザン・リテラリー・メッセンジャー』誌の456ページから459ページにかけて、 "Critical Notices" 18篇のうちのいくつか(可能性としては17篇)がポーのものと推測されています。証拠を云々するのはやめて、ただ参照用に書き留めたいと思います。最初の、別のひとの筆と思われる、アーヴィングの小説の書評と、ふたつめとみっつめの、雑誌 North American ReviewLondon Quarterly Review を評している文章は落とします。

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The Life of Samuel Drew, the shoemaker and philospher of Cornwall, by his son, is published by Harper & Brothers, and consists of 360 pages.  Drew was an extraordinary man, whose works, especially his theological ones, have gained him no little celebrity.  It now appears that he had much to do with the writings attributed to Dr. Coke.  [Southern Literary Messenger, April 1835: 458]

   これだけです。

  これだけなら、訳しちゃおうかな。

  (コーンウォールの靴屋にして哲学者『サミュエル・ドル―の生涯』は息子の手になり、ハーパー&ブラザース社刊の360ページの本である。ドル―は非凡な人で、とりわけ神学関係の著作によって著名となった。コーク博士のものとされる著作におおいにかかわっていたらしいことがわかる。)

  コークというのは Thomas Coke, 1747-1814 で、サミュエル・ドル― Samuel Drew,1765-1833 同様に神学者で文人でした。ふたりはメソディズムでつながっています。コークの死後、ドル―は評伝を書いています――Life of the Rev. Thomas Coke (1817) <http://www.archive.org/details/lifeofrevthomasc005485mbp>

  ポーが書評を書いているドル―伝をパラパラ眺めてみましたが、コークの著作とドル―の筆について定かなことはまだ言えません。

  ところで息子(Jacob Halls Drew) は自分を "the biographer" (伝記作者)と呼び、お父さんのことは "Mr Drew" と記しています。 1861年には、 Samuel Drew, M. A., the Self-Taught Cornishman: A Life Lesson.  By His Eldest Son. として父親の評伝を書きあらためています。―― <http://www.archive.org/stream/samueldrewselft00drewgoog#page/n8/mode/2up>  むろん、エドガー・アラン・ポーは2冊目の本については知ったことではなく1849年に死んでいますけれど、ちょっとポーのジョン・アラン John Allan, 1779-1834への複雑な思いを思うと複雑です。


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