それが問題だ That Is the Question [ひまつぶし]
9月になってから、仕事場にあった『世界毒舌大辞典』という本を行き帰りの電車で読んでいた。
ジェローム・デュアメル著、吉田 城訳 『世界毒舌大辞典』. 大修館書店、1988年. 528pp.〔Jérôme Duhamel, Le Grand méchant dictionnaire. Paris: Seghers, 1985〕
訳者あとがきには「・・・・・・「女」の項に集められた数々の引用を眺めると、どれほど男性支配の原理がかつて世界をしばり、不当に女性を虐げてきたか、慄然たる思いがする。本書はこのような偏見の記録としても読むことが可能であろう。」とPC的言説が述べられておるが、約60ページを占める「女」の項を、まずは読んだわけです。
で、ピンとこないのが多かった、です。
◆お尻 Cul
女性のお尻は男性の精神のように単調である。 (ギー・ド・モーパッサン)
◆ひざ Genoux
女性はひざを閉じるのにヘラクレスのようなばか力をもっている。 (ルイ・テシェ・デュクロ)
◆紳士 Gentleman
帽子をかぶったままで女をなぐるのはとうてい紳士的とは言えない。 (マルセル・アシャール)
・・・・・・いずれもモーリちゃんの父には測りがたい含意をもっているのかしら。
よくわかりません。
◆それが問題だ That is the question.
ベッドに行くべきか行かざるべきか。 (To bed or not to bed.) (ピエール・ニコル)
ピエール・ニコル Pierre Nicole, 1625-95 はヤンセン派のモラリストです。ヤンセン派は、ぐうぜん「ディドロの「私の古い部屋着への惜別」(4) Regrets sur Ma Vielle Robe de Chambre (4)」で注記しました。
17世紀というと、シェークスピアのもと (to be or not to be) の『ハムレット』とほぼ同じ世紀です。ニコルの原文の典拠がわからないのですけれど、フランス人のニコルが英語で洒落た、ということでしょうか。
その調べはおいといて、とりあえず、暇つぶし的改変――
行く床(とこ)か、行かざる床(とこ)か。 (To bed or not to bed.)
もうやめとこか。