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キャプテン・ジョン・スミスと南北問題 (1)  Captain John Smith and the North-South Problem (1) [Daddy-Long-Legs]

〔記事「ジョン・スミスという名前 John Smith」のつづきです〕 

ジョン・スミスとポカホンタスについてあれこれウンチクを傾けるのも楽しいかもしれないけれど、不正確な妄想を書きかねませんし、なんだか英語ウィキペディアを参照したうえでそれなりに充実しているように見受けられる日本語ウィキペディア記事「ジョン・スミス(探検家)」「ポカホンタス」もあるので、そこからはずれた話を勝手にしたいと思います。
  あ、それからウィキペディアでジョン・スミスを検索すると、日本語のほうだと、だいぶ人数を絞っていますけれど、英語の Wikipedia "John Smith" だと、虚構の人物を除いても100人並んでいます。
  ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

  イングランド東部の北海に臨む州リンカンシアに生まれて、十代で船乗り、そして軍人になったジョン・スミス John Smith, 1580-1631 は、(北)アメリカ植民地建設を目的としてジェイムズ1世が勅許したヴァージニア・カンパニー Virginia Company のロンドン会社のほうの一員として、1607年5月、「南部」ヴァージニアのジェイムズタウンに(北)アメリカ最初の恒久的植民地を建設します。アメリカ建国の父祖とされるピルグリム・ファーザーズ Pilgrim Fathers が「北部」のプリマスに植民地を建設するのが1620年で、10年以上あとのことなわけですけれど、第一に北部が文化的・政治的中心としてアメリカの歴史は進んだこと、第二に、おおざっぱに分けると南部は商売的な目的や野心で入植する者が比較的多かったのに対し、北部は宗教的な理由から新天地を求めてくる者が多かった(北部は生活がむつかしく、実際ピルグリム・ファーザーズの一行の半分以上が最初の冬に飢えと寒さで亡くなったのでした、確か)、第三に、南部は英国の勅許に基づいて植民が始まったし、英国王が統治者を認めていたわけですが、北部の植民地の土台を築いたピルグリム・ファーザーズは、いわゆるピューリタンで、英国国教会の不十分な宗教改革に反対して祖国を捨ててエミグレとしてオランダに移住し(それによってカルヴィニズムを受容し)、一度英国へ戻り、また迫害され、新世界での新しい歴史の始まりの可能性を夢見てやってきた、宗教に傾斜したひとたちでした。ので、今日もキリスト教信仰の強いアメリカが自らを語る歴史としては、いきおい、故国イギリスの「植民」先であった南部ジェイムズタウンではなくて、故国イギリスを捨てて「移民」してきた北部の物語を中心に据えたのでした(たぶん)。
  ポカホンタスとジョン・スミスの「神話」というのは、1607年12月にジョン・スミスがポーハタン族のインディアンに捕まったときに酋長の娘のポカホンタスが身を投げ出してスミスの命を救った、というものです(まあ、その後の、ジョン・ロルフとポカホンタスの結婚などにまつわる神話化もありますけれど)。ポカホンタスは英語を学び、白人とインディアンの友好の架け橋となります。もっともジェイムズタウンは、ポカホンタス Pocahontas, c.1595-1617 死後の1622年には「ジェイムズタウンの虐殺 Jamestown Massacre; Indian Massacre of 1622」が起こり、インディアンと白人の友好関係を示すと思われた土地であったジェイムズタウンのイメジは、ヨーロッパ白人の目には、崩壊します。
  ジョン・スミス自身は既に1609年にイギリスに戻って、脚色をまじえた文筆業に専念していたみたいですけれど、スミスが残したものに地図があります。

  あ、このへんで、ちゃんとwWikipediaを引いておきます。――

ジョン・スミス(英: John Smith、1580年–1631年6月21日)はイギリスの軍人、船乗りおよび著作家である。現在のアメリカ合衆国バージニア州ウィリアムズバーグ市内に北アメリカでは最初の恒久的植民地となったジェームズタウンを建設した。スミスは先住民族インディアンポウハタン族のポウハタン酋長との諍いの間に、酋長の娘ポカホンタスと短期間だが交流があったことでも知られている。スミスは1607年から1609年まで、ジェームズタウンを本拠とするバージニア植民地の指導者であり、バージニアの多くの川やチェサピーク湾を探検した。

スミスの書いた本はその業績と同じくらい重要であった。イギリスの多くの男女がスミスの切り開いた道に従って新世界に渡り開拓者となった。スミスはアメリカ北東部も探検してその地域にニューイングランドという名前を付けたことでも知られている。その時のスミスは「ここならば誰もが自分の思うところに従って働き土地の所有者になれる。...もしその働く手しか無いにしても、...勤勉に働けば直ぐに金持ちになれる」と言って人々を励ました。これが力強いメッセージとなり、続く4世紀の間に何百万人もの人々をこの地域に引き寄せることになった。〔Wikipedia 「ジョン・スミス(探検家)」<http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%9F%E3%82%B9_%28%E6%8E%A2%E6%A4%9C%E5%AE%B6%29> リンクを適当に省略〕

   この日本語記事に相当する英語はつぎのようです。――

Captain John Smith (c. January 1580 – June 21, 1631) Admiral of New England was an English soldier, explorer, and author. He is remembered for his role in establishing the first permanent English settlement in North America at Jamestown, Virginia, and his brief association with the Virginia Indian[1] girl Pocahontas during an altercation with the Powhatan Confederacy and her father, Chief Powhatan. He was a leader of the Virginia Colony (based at Jamestown) between September 1608 and August 1609, and led an exploration along the rivers of Virginia and the Chesapeake Bay.

His books and maps may have been as important as his deeds, as they encouraged more Englishmen and women to follow the trail he had blazed and colonize the New World. He gave the name New England to that region, and encouraged people with the comment, "Here every man may be master and owner of his owne labour and land...If he have nothing but his hands, he may...by industrie quickly grow rich." His message attracted millions of people in the next four centuries.

  長くなりそうなので続きます。すいません。

Shifflett_JohnSmiths_1612_Map.jpg
ジョン・スミス作成のヴァージニア地図 (1612) (クリックで少し拡大)

 

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Thomas R. Smith Map Collection <http://www.lib.ku.edu/mapscoll/wworld.shtml> 〔The University of Kansas Libraries〕

New York State Historical Maps <http://www.stonybrook.edu/libmap/nymaps.htm> 〔State Univestiy of New York at Stony Brook/ Univestity Libraries/ The Map Collection〕

New York State Map Pathfinder <http://www.stonybrook.edu/libmap/nypath1.htm> 〔Stony Brook University/ Univestity Libraries/ The Map Collection〕


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