秋日狂乱 A Fall Day Driven Mad [歌・詩 ]
女子バレーを見たあと、99年の愛の四夜目を見て、それから録画してあった Q10 を今見ています。「キューテン」と読むとモーリちゃんに怒られるのですけど、なんで「キュート」なの(ってまあ、第1話を見てとりあえずはわかってはおるのですが)。
で、十数分前のやり取り(ほんとうは数時間前・・・・・・そして、ほんとうは・・・・・・ほんとうは・・・・・・ない)を見ながら、メモっておきます。
秋日狂乱
中原中也
僕にはもはや何もないのだ
僕は空手空拳だ
おまけにそれを嘆きもしない
僕はいよいよの無一物だそれにしても今日は好いお天気で
さつきから沢山の飛行機が飛んでゐる
――欧羅巴は戦争を起すのか起さないのか
誰がそんなこと分るものか今日はほんとに好いお天気で
空の青も涙にうるんでゐる
ポプラがヒラヒラヒラヒラしてゐて
子供等は先刻昇天したもはや地上には日向ぼつこをしてゐる
月給取の妻君とデーデー屋さん以外にゐない
デーデー屋さんの叩く鼓の音が
明るい廃墟を唯独りで讃美し廻つてゐるあゝ、誰か来て僕を助けて呉れ
ヂオゲネスの頃には小鳥くらゐ啼いたらうが
けふびは雀も啼いてはをらぬ
地上に落ちた物影でさへ、はや余りに淡い!――さるにても田舎のお嬢さんは何処に去[い]つたか
その紫の押花はもうにじまないのか
草の上には陽は照らぬのか
昇天の幻想だにもはやないのか?僕は何を云つてゐるのか
如何なる錯乱に掠(かす)められてゐるのか
蝶々はどつちへとんでいつたか
今は春でなくて、秋であつたかではあゝ、濃いシロップでも飲まう
冷たくして、太いストローで飲まう
とろとろと、脇見もしないで飲まう
何にも、何にも、求めまい!……
さて、今の時代にも中原中也の詩を読んで、写真を見て、あこがれる女子はいるのかしら。いてもいいけど。昭和10年10月の詩。
中原中也は秋の歌が多いのだな。
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青空文庫の朗読ページ mp3 <http://reservata.s123.coreserver.jp/poem-chuuya/mp3/arisi-24.mp3> 〔なんか、おっちゃんというかあんちゃんというかMさん的というか、まあ〕