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ノリスの『小説家の責任』 _The Responsibilities of the Novelist_ by Frank Norris [φ(..)メモメモ]

南北戦争後のアメリカ文壇の大御所だったウィリアム・ディーン・ハウエルズは幅広くリアリズム文学を称揚し、いろんな作家を発掘・奨励・称賛して世に出したのですけれど、自然主義作家のフランク・ノリスもハウエルズに高く評価されました。そのノリスの小説論は、しかし、リアリズムを批判するものでした。

Frank Norris.  The Responsibilities of the Novelist and Other Literary Essays.  New York: Doubleday, 1903.   311pp.

Google read-on-line e-text (U of Michigan Library) <http://www.archive.org/stream/responsibilitie00unkngoog#page/n10/mode/2up>

MSN read-on-line e-text (Cornell U Library)
<http://www.archive.org/stream/cu31924027190960#page/n0/mode/2up>

 

   紙のリプリントとしては、(自分がもっているのは)リアリズムを唱導したハウエルズの Criticism and Fiction (1891) と一緒にしたペーパーバックがあります――Criticism and Fiction by William Dean Howells/The Responsibilities of the Novelist by Frank Norris.  New York: Hill and Wang, c1967 [American Century Series 83]. 320pp. 
  ノリスの、この死後出版のエッセイ集は、25のエッセイを収めています。あと、ノリスの著作の文献目録が、初版の最後には収められています(上記のペーパーバックは、ハウエルズの著作とは違って、ページを縮めて版を再構築しているし、ビブリオも省略しています(まあ、本の主旨からして、妥当ですけど)。
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  フランク・ノリス (1870-1903) はカリフォルニア大学を1894年に卒業、東部に母親とともに(というのは大学在学中に両親が離婚して、父親は再婚し、ノリスは母親といっしょに暮らしていた)引っ越してハーヴァード大学の大学院で、L・E・ゲイツの指導のもとに創作を勉強しました(ハウエルズに認められ作家としての地位を確立することになる長篇小説『マクティーグ』 (1899) はゲイツに捧げられています)。
 
  この『小説家の責任』のなかの最も有名なエッセイは "A Plea for Romantic Fiction" だと思います。ノリスは、リアリズムと対立するものとして自らの小説を規定しようとして、自分の自然主義は「新しいロマンスの形式」だと言います。瑣末な日常の細部にこだわる ("Realism is minute.") リアリズムを否定したノリスが求めたのは、なんか、超越的とはいわずとも、原理的なものだったのでしょうか。しょうね。
  
  ということで、なんとなくつづくかも。

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