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冬の午後の雪景色 Most Blinding Winter Afternoon [Daddy-Long-Legs]

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1年生2月の日曜日の、試験落第と詩「わたしの塔から」の学内誌への採用を告げる手紙の第5段落。

This is the sunniest, most blinding winter afternoon, with icicles dripping from the fir trees and all the world bending under a weight of snow―except me, and I'm bending under a weight of sorrow.  (Penguin Classics 30)
(日が照って、とてもまぶしい冬の午後、氷柱はモミの木からしずくを垂らし、世界のものみなが雪の重みにおしつけられています――が、ただわたしだけは悲しみの重みにおしつけられています。)

  うまく訳せないけれど、なかなか詩的な文章だと思います。"blinding" は目をくらませるくらいにまぶしい、という感じ(陽光が一面の白い雪やツララに照りかえって)。"bending under a weight of snow" と "bending under a weight of sorrow" の比喩の展開・転換も、"snow" "sorrow" と韻を踏ませて音楽的です。しかし、つい笑ってしまうところもあるのですけれどw。

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   落第の「ニュース」を告げる第7段落は、その報告のすぐあとにつづけて、「カタログ」(便覧)に載っていないことをたくさん勉強したことを弁解として述べ、具体的には読書の記録が陳列されて、文学的な景色が雪景色にとってかわるのでした。もっぱら散文作品が並べられています(長篇小説は17篇読んだと言っています)が、詩については "bushels of poetry" と、いわば(連想イメジ的には)多量の雪粒のようにたくさん読んだことを告げています。


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「六行目に脚が多すぎる」――ムカデ図への伏線――脚の話 (7) "The Sixth Line, Which Had Too Many Feet": Leg Stories (7) [Daddy-Long-Legs]

『あしながおじさん』1年生冬の「日曜日」の手紙は、試験の落第を報告するものですが、いやなニュースの前にいいニュースを、ということで、学内誌に「わたしの塔から」という詩が採用されたことを書きます。
  ちなみに、記事「ジーン・ウェブスターが3年生までのヴァッサー大学の学年暦 Vassar College Calendars, 1987-1890」で書いたように、ジーン・ウェブスターが1年生だった、1897-1898年のカレンダーを見ると、1898年の1月の学事は、

January 24-28.  Semester Examinations

January 31.  Second Semester begins

  という感じで、セメスターの試験が1月24日から4日間。そして31日から後期セメスターが始まります。ですから、この日曜日というのは2月に入っていると考えられます(だってそんなに採点早くできないしw)。それに再試が来月ある("will take another examination next month")と書くのですけれど、実際に3月下旬に行なわれている様子です("The Ides of March" の手紙参照)。

Jerusha Abbott has commenced to be an author.  A poem entled, "From my Tower," appears in the February Monthly―on the first page, which is a very great honor for a Freshman.  My English instructor stopped me on the way out from chapel last night, and said it was a charming piece of work except for the sixth line, which had too many feet.  I will send you a copy in case you care to read it.  (Penguin Classics 30: emphasis added)
(ジェルーシャ・アボットは作家としての一歩を踏み出しました。「わたしの塔から」という題の詩が『マンスリー』の2月号にでます――それも冒頭第一ページで、これは1年生としてはたいへんな名誉です。昨晩チャペルをでて帰り道に国語の先生がわたしを呼びとめて、あれはとても魅力的な作品で、ただ6行目の韻脚が多すぎるのだけが惜しい、とおっしゃいました。お読みいただければと思い、1部お送りするようにします。)

  先生がいっているのは、1行の foot 詩脚(韻脚)の数、すなわち meter 歩格が第6行だけ多すぎる、meter が乱れている、ということです。  

  例の百足図が出るのが、4月の手紙で、ペンギン版だと6ページあとです。


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